Multisensory learning binds neurons into a cross-modal memory engram | Nature (2023)
Okray, Z., Jacob, P.F., Stern, C. et al.
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動物は複数の感覚を利用すると、一つの感覚を利用するよりも成績が上がることが知られている これは脊椎・無脊椎動物ともに広く知られた現象だが、その神経基盤は明らかになっていない 本実験では
比較的少ない数の神経細胞からなる神経システム
特定の神経細胞に対して遺伝的操作が可能
Naa_tsure.icon無脊椎動物の神経系を使う理由って同定ニューロンがあるからだと思うんだけどなんで書かないの Naa_tsure.icon個体を超えて同じ形態・機能を持つ細胞から記録が取れることが魅力だと思うんだけど
CS+は側はCSと報酬が同時に与えられて、CS-ではCSのみが与えられている
CSの与え方をFig.bのように設定して、学習後にCS+の刺激とCS-の刺激のどちらを選ぶかを調べた
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その結果、学習から検証までの時間に関わらず、他の条件と比べて条件CでCSと報酬を上手く結び付けたことが分かった
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複数種類のCSを用いて学習させた場合と、一種類の刺激を与えて学習させた場合を比較してみると
嗅覚・視覚のどちらで検証しても、複数種類のCSを与えた場合に報酬とCSの関係を良く学習していることがわかった
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では、各モダリティはどのようにこの多感覚を用いた学習に寄与しているのか?
キノコ体のうち、主に視覚入力を受け取るγ-dorsal KCsのシナプス出力を止めることで、視覚入力の想起への効果を調べた
Fig-a右は多感覚CSで学習した時のパフォーマンスを示している
視覚入力を処理する神経の出力を阻害することで、思い出しが悪くなった
Fig-bは視覚マーカーを学習と検証で入れ替えている
多感覚学習が成立している場合はパフォーマンスは下がると考えれらる
しかし、視覚の出力を阻害するとパフォーマンスの低下が小さくなっている
以上のことから、多感覚学習の思い出しには視覚の情報も必要となることが示唆された
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さらに、多感覚学習をしたハエの検証を匂い刺激のみで想起した場合においても、
視覚入力を処理するKCの出力を止めることで成績が悪化した
Naa_tsure.icon視覚入力を処理していた細胞が嗅覚情報も扱うマルチモーダルな細胞になった??
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もし、視覚入力を処理していた細胞が嗅覚情報も扱うマルチモーダルな細胞になっているとしたら、
多感覚学習時と嗅覚のみで学習した場合で、視覚入力を処理していた細胞の応答が変化するはずである
そこで膜電位色素を用いて、学習後に応答をそれぞれ比較した
多感覚学習を行うと、視覚入力のみを処理していた細胞が学習した嗅覚にも応答するようになっていた。
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これを視覚と嗅覚の条件を反対にしても、同じく嗅覚にのみ応答する細胞が学習した視覚に応答するようになった
ここから、以下のモデルが提唱される
報酬による多感覚学習が行われると、視覚・嗅覚一方の処理を行うKCどうしが機能的に結合する?
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この機能的結合がDANsが原因だとすると、忌避的学習の場合はγ1においても両者の感覚に応答すると考えられる
忌避的学習で同様の実験を行ってみると、γ1においても視覚刺激に応答する細胞がに嗅覚刺激にも応答した
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以上のことから、多感覚学習においてDANsが両方のモダリティの接続に寄与していると考えられる
実際、忌避→報酬とすると報酬の方が下流にいるので多感覚学習が上手く成立する Naa_tsure.icon逆にすると報酬の方が下流にいるため、上手く多感覚学習が成立しない
Naa_tsure.iconと思ったけど、単純に結び付けを使いまわし出来るから学習が上手く成立するのでは?という話らしい
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結局、異なる感覚に応答するKC同士はどうやって繋がっているのか?
存在するが、シナプスの配置が偏っている
しかもこの接続は抑制性であるという報告もある
KC-?-KCという間接的な繋がり
DPM neuronがKCと相互に接続している
しかもγ1側でもγ2-5側でも接続が見られる
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DANsが働くことで、APLを脱抑制してKC-DPM-KCが開通する?
DPMの出力を抑えると多感覚学習が成立しなくなる
学習が成立していても想起ができなくなる
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多感覚学習の有無でDPMのγ5領域の応答を比較してみると、学習成立した場合にDPMにおける応答が増加している
KCからDPMへの入力が行われていると考えられる
以上から、KC(匂い)→DPM→KC(視覚)の経路が学習により成立すると考えられる
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ではDPMが使用してるセロトニンはKCにシグナルを送れるのか?
5-HT2A受容体の発現を低下させると、多感覚トレーニング後の嗅覚記憶能力が低下した
このときのKCの応答を調べると記憶学習による応答の増強は見られなかった
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以上のことからDPMがセロトニンを放出し、5-HT2A受容体を介してKCにシグナル伝達をしていたと考えられる
Naa_tsure.icon応答のAUCが変化するから学習しているのはわかるんだけど、出力の時系列変化についての議論が気になる
Naa_tsure.icon位置神経の領域ごとにことなる局所回路に絡む話な気がして面白い
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